7月29日(日)のサントリーホール公演に行って来ました。実際にコンサートに行かれた方が多いと思いますので、ここでは私の個人的な感想のみ書きたいと思います。

 私が毎週St John'sに通っていたのは今から2~3年前のことになりますが、その頃1年生だったChoral Scholarsのメンバーが今は3年生となり、見覚えのある顔が何人かいました。その頃から既にソリストを務めることもあってかなり上手でしたが、今回聴いてみてさらに熟達した深みのある歌声になっていて感動しました(特にバリトンのソリスト)。Choristersの方は、残念ながら記憶にある顔はありませんでしたが(その頃は小さすぎたのでしょう)、さすがSt John's、楽譜を持つ姿勢からピシっとしていて立派でした。まだ見習い生かと思うくらいの小さな男の子が2人いて、とても可愛らしかったですね。

 さて、肝心の歌声の方ですが、やはりNethsingha先生の指導は素晴らしい!と思いました。以前に留学記の方でも書きましたが、St John'sのいいなぁと思うところは、曲中の一つ一つのフレーズの強弱や抑揚が丁寧で際立っていることです。特に、どの曲かは忘れましたが(最後の方だったと思います)、最後の盛り上がりの部分のfp(フォルテピアノ)が実に壮大で本当に素晴らしかったです。特にChoristersの高音の鋭さが良く聞こえて、思わずゾクッと鳥肌が立ったほどです。
 そしてもう1つの素晴らしいと思うところは、フレーズの最後がピタリとそろっていることです。途中で途切れることなく、最後までしっかり伸ばし切っています。今回、今までにないくらい素晴らしいと思ったのは、最後の言葉が「n(ん)」で終わったときの余韻です。「n」の音を「ん!」と言い過ぎずに静かに響かせるのは難しいと思いますが、本当にきれいにまとまっていました。そしてただ単に全員でそろえるだけではなく、歌い終わった後もしばらく弧を描くかのように響きが空気を伝わって残っていたのです。まるで空気の中にほんわりと「余韻の雲」ができたかのようでした。あんなに広いホールで、あんなに長い時間余韻を残せるのは本当に素晴らしい技術ですし、とても感動的でした。
 専ら評判となっていた、動きのある曲「Come, Holy Ghost(来たれ聖霊)」ですが、あのような演奏形態は初めて見ました。あれだけ多くのパートを、それぞれが別の方向を向いてハーモニーを合わせるというのは、本当に技術のいることだと思います。この曲に限ったことではありませんが、アカペラで歌うことの難しさを改めて感じました。無伴奏で歌うというのは、演奏時間が長ければ長いほど音程が不安定になり、音が下がっていく傾向にあります。でもさすがSt John's、そんな心配は皆無でした。たった10歳前後の少年たちもすらりとやってのけるのですから、本当に才能のある人たちが集まっているのでしょうね。

 コンサートで歌われた曲はどれも素晴らしいものでしたが、その中でも印象に残っているのは「Praise my soul, the King of heaven(わが魂よ、天なる王を賛美せよ)」です。この曲は普段の礼拝で歌われているHymnsの中の1曲で、第436番に当たります。私もこの曲を歌った覚えがあります。まさにイギリスでの日常の礼拝を再現した曲でしょう。
 この曲は、第1節斉唱、第2節合唱、第3節日本語による独唱、第4節ロビンソンのディスカントと共に、という構成で歌われました。第3節の日本語独唱を担当したのは、日英ハーフのChoral Scholar生、テノールのJulian Gregoryくんです。彼はちょうど今年の6月に大学を卒業したところで、私が留学時代にSt John'sに通っていた頃はまだ入学したての1年生でした。以前の留学記でも書いたと思いますが、彼は1年生のときからソロを務めていただけではなく、バイオリニストとしてフォーレクのオーケストラミサにも出演していて、歌のみならず楽器の方でも豊かな才能をもっている青年です。お母様の故郷である日本での公演ということで、Julianくんにスポットを当てた演出がいくつか見られました。それに彼の知り合いも多く聴きに来られていたみたいで、コンサート後のロビーではひときわ大きな人だかりができていました。
 曲についてに戻りますが、第4節の「ディスカント」というのは、主旋律に組み合わされた新しい旋律のことで、たいていは高音部、つまりトレブルが装飾的な高音の対位旋律を歌うことです。日本語の独唱を抜いた斉唱→合唱→ディスカントという構成は、普段の礼拝でのHymnsでは日常的に行われています。簡単に言うと、最初は全員で同じ旋律を歌いますが、2番になるとまず低音部(テナー・バス)がハモリを歌うようになります。そして最後にはトレブルが突き刺すような鋭い高音でハモリを歌い、同時にオルガンの伴奏も壮大なものになります。そんなわけで、どの曲を歌うときも必ず最後は壮大で華々しい盛り上がりで終結を迎えます。
 ただし、一般の礼拝客は最初から最後まで斉唱で主旋律を歌っています。なので、曲が進むにつれてどんどんScholar生やChoristerたちがハモッていってくれるので、自分たちもその壮大な合唱の一部になっていることを実感してとても気持ち良く歌えます。私がいつも、聖歌隊と一緒に歌うのが楽しいと言っていたのは、こういうわけだったのです(笑)。コンサートの曲目の中では一番シンプルなものだったかもしれませんが、私はこの曲を聴いていてSt John'sの礼拝に通っていたことを懐かしく思い出し、もうあのような経験はできないんだなぁと感慨深くなってしまいました。そんなわけで、この曲が特に印象に残っています。
 Hymnsの一つ一つの曲自体は、短くて旋律も複雑ではありませんが、上記のように段階を踏んで曲が壮大になっていくので、最後はとても感動的です。興味のある方は、ぜひSt John'sの普段の礼拝の様子をWebcastsで聴いてみてくださいね。特にこのページのHymn296では、それを顕著に聴くことができます。

 公演後は、ロビーに聖歌隊員が何人か出て来て、Choristersは2人1組になって震災の被災者のための募金を募っていました。そこでChoristersにガンガン話しかけてみました(笑)。日本のどんなところが面白かったのかということに興味があったので、そのことを聞いてみました。同じ質問をNethsingha先生にもしてみたのですが(!)、みんなまずは「Tea room!」と口をそろえて言っていました。京都の裏千家今日庵でお茶を体験したそうですが、日本の伝統的な文化がそれほどまでに印象に残っていることを、とても嬉しく思いました。その他には「日本のお寺を見たのがとても良かった!」と言っている子もいました。
 また、ロビーではわずかな時間ではありましたが、Julianくんのお母様ともお話をさせていただきました。お母様によると、今後も定期的に日本公演を行っていきたいという話が出ているとのことでした。Julianくんはもう卒業してしまいましたが、このように今回の公演で日本とイギリスとの橋渡しをして下さったことに、心から感謝したいと思います。ぜひまたNethsingha先生が音楽監督であるうちに、日本に来てほしいです。

 個人的な感想をちょっと書くつもりが、けっこう長くなってしまいました(^^;)やっぱりSt John'sだと色々な思い出が詰まっていて、ついつい感慨深くなってしまいます。ここまで読んで下さりありがとうございました。そして別な会場でのコンサートに行かれた方々、先立って感想や情報を教えて下さりありがとうございました。
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Satomi

Author:Satomi
クラシック音楽が大好き、特にConnor崇拝者です。2010年12月に、1年半のイギリス留学から帰って来ました。日々の生活の様子や音楽関係の話題を中心に綴っていきます。本家Connorファンサイトもどうぞよろしく。

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